2014年3月9日日曜日

Bible

”ご注意” 今回の投稿には僕が事故に遭った時の経緯等も書いています。血生臭い話の嫌いな方には読むことをオススメ致しません。大丈夫だという方だけお読み下さい。


僕がロッドビルダーになると決心するきっかけになった本。



何度も何度も読んだせいで角がボロボロになってしまった。


僕がバンブーロッドを作り始める前の年。
釣具屋を初めて3年目。
釣り好きが高じて、それまでやっていたコンビニを止めて始めた店。
でも、好きだけじゃどうにもならない事もあると、いろいろ考え始めていたある日。

出勤前に、どうしても行きたい所があって知らない道を250ccのスクーターで走っていた。元々、ずっとバイクが好きで長年乗っていたし、サーキットに走りに行ったりもしていたので運転には少しばかり自信があった。(これがいけなかったのかも知れません。。)
道が混んでいて、殆ど止まりそうなスピードだったので、足を出しながらバスの隣を走っていた。

”ガンッ!!”

何がおこったのか、全く分からなかった。
なぜか、僕は道路に横たわっていた。
足がズキズキする。
見てみると僕の右足はありえない方向に脛の中間から曲がっていた。
血がどんどん出てきて水たまりのようになっている。

とりあえず、ヘルメットを脱ぎ捨て気持ち悪い方向に曲がっている足を自分で真っ直ぐにした。(人間、極限状態になると何をするか解りません。僕は元に戻してどうしたかったんでしょうね?(苦笑))
どうやら、真横から車に突っ込まれたらしい。
足を出していたので、車のバンパーとバイクの車体に挟まれたせいで足がこんな事になった様だ。

後から聞いた所、バスが前が混んできたので、対向車線の右折待ちの車を行かせようとして止まったらしい。その為、僕だけが飛び出した形になった所に、右折車が急いで右折しようとして真横から僕に追突したんだそうだ。

僕は救急車で近くの病院に運ばれ、なんとか助かった。
ただ、この時点では足がどうなるか解らないと言われていた。ジーパンのおかげで外からは足がどうなっているのか見えなかったのだが、結構凄いことになっていたらしい。
(おかげさまで、今はちゃんと痛いながらも歩けるし、釣りにも行けています。)

最初の1〜2週間は痛みもあったので、ボーッとしていた。
何も考える気がしなかった。何もできなくなるんじゃないかと思っていた。
本心で笑う事なんて、とてもじゃないけどできなかった。

でも、毎日見舞いに来る1歳になったばかりの息子の笑顔と、嫁さんの心配そうな顔を見ていて、「このままじゃダメだ。」と思った。

こんな足になってしまって、ずっと店は続けられない。
将来、どうするか? 自分はどうしたい?
釣りはできなくなるかもしれないけど、できれば釣りに関わって生きていきたい。
僕には何ができる? 僕は何がしたかった?

その時、思い出したのがこの本の事だった。

元々、物を作ることが好きだった。
小学生の頃からチョークを削って車を作ったり、流行っていたプラモデルを作ったりと、何かを作ることがとても好きな少年だった。
大人になっても作ったり改造したりが大好きで、乗っていたローバーミニのエンジンを腰上までバラしてみたり、バイクの改造も全部自分でやっていた。
釣りがメインの趣味になってからも、やっぱり作る事が好きでフライのタイイングが楽しくて、ずっとやっていた。

ある日、いつも呼んでいるフライの雑誌にこの本の宣伝が載っていた。
本体価格で5800円もする本だったが、何かピンとくるものがあって、直ぐに購入した。約700ページもあるこの本を、初めて読んだ時のあのワクワクした気持ちは今でも忘れていない。この本には、バンブーロッドに深く関わる人達の情熱や、自信や、意地等。。とりあえず、いろんな感情や情報がパンパンに詰め込まれていた。
僕は読むことを止められず、寝る間も惜しんでこの本を読みきった。
この時に、僕の中に「僕もこんな風に生きてみたい」という感情が芽生えていたんだと思う。

僕は嫁さんに頼んで、この本を病院に持ってきてもらった。
それから数カ月間の入院生活の間、何回もこの本を読んでいた。
繰り返し、繰り返し。
看護師さんに「また、その本読んでるんですか?」と、呆れられるぐらい、何回も読んでいた。(この本、重すぎるんでたまには他の本も読んではいましたが。。(笑))

おかげで、魚香竿のメインコンセプトが出来上がった。(僕のHPのコンセプトページに載っています。もし、良ければ読んでみてください。)

そして僕は退院する頃には、バンブーロッドビルダーになると決心していた。
この本はフライロッドのバンブーロッドに関する本なのに、なぜかルアー用のバンブーロッドをメインで作っているのが天邪鬼な自分らしいと思っている。(苦笑)
まだまだ、本当に続けられるのかも解らないが、一生かけてやっていきたいと思っている。

追記
インターネットで調べているとなかなか手には入りにくいようですが、まだなんとか買える様です。バンブーロッドに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。いろんな方の、いろんな考え方が書いてあって本当に面白い本です。書いてあること全てが正しいとは思いませんが、とても参考になる本です。


今日の作業中のBGM

上原ひろみグループで有名な6弦ベースを弾きまくるすんごい人(笑)のソロアルバム。ゲストメンバーもジョン・マクラフリンはじめ凄い人ばかりの聴きどころ満載のアルバムです。(評価は別れる様ですが、僕は好きです。)

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