2014年2月9日日曜日

"Splitting the Bamboo"

竹割り

バンブーロッドを作る上で、一番最初に行う手作業。
選びに選び抜いた竹を、できるだけ細かく、使用する太さに割っていく。

竹を割って、三角形に削って火を入れる。ここまでの工程は、全て竿を作る為の「均一化された素材」を作る工程だ。もし、全く、均一化されていない素材で竿を作ったらどうなるか? 想像してもらえれば、結果は火を見るより明らかである。
この大事な工程の(大事じゃない工程っていうのも無いんですが。。)一番、最初の工程が竹割りなのだ。

竹の割り方にもいろいろある。
4ツ割や6ツ割といった、竹割器を使う割り方。
ドライバーの先端を加工して竹に楔を打ち、裂いていく割り方。
竹割鉈で、割っていく割り方。

僕は竹割鉈で割っている。





「簡単な作業だ。」と言うビルダーさんもいる。
「割れるようにしか割れない。」と言う竹屋さんもいた。

僕はそうは思わない。
この時点で、いかに等幅に割れるかで全ての精度が変わってくると思う。

よくバンブーロッドの製作方法の書いてある書籍で、「少し余裕を持って割りましょう。」、「細くなりすぎて使えなくなります。」等と、書いてある。

違うのだ。 「使えなくなる。」のが嫌だから「割りたい太さより、少し太く割っている。」だけなのだ。

使える様に、「割りたい太さより少し太めに割った竹」のスプリットで曲げ直しをするとする。もちろん、設定幅で割れない人が割った竹だから、竹のスプリット(竹辺の事)の幅もバラバラだ。いろいろな幅のスプリットの曲げ直しをするのは、いちいち力加減が変わるので一定の曲げ直しができなくなってしまう。(細い物と、太い物を曲げるんだったら、力加減は変わりますよね?)それだけならいいのだが、同じ幅にしようとして修正(ナイフやカッターで削る事)すると、竹の繊維まで切る事になってしまう。こうなると後で削る時に苦労するのだ。(ちゃんと挽回はできますが。。)

反論するビルダーさんもおられると思う。「どんな太さの竹のスプリットでも、曲げ直しできるのがプロだ。」と、仰るかもしれない。
その通りだ。どんな太さでも出来なきゃいけない。

でも、もし、同じ幅で一定して割れるのなら?
いつも同じ幅なので、曲げ直しをする時の力加減も一定し、曲げを取る時の熱の入れ方も一定して、より均一化された竿の素材が出来上がるはず。
もちろん、竹は自然素材なので、同じ太さ、同じ厚さの竹がずっと手に入る訳はない。
でも、同じ竿に使う竹のスプリットは、同じ竹から使うのだから、等幅に割れていればその竿の製作の間だけでも、同じ感覚で曲げ直しをする事ができる。これは、とてつもないメリットではないだろうか? 
同じ太さで割れている竹のスプリットの束と、割れていない竹のスプリットの束、どちらを曲げ直ししたいだろうか?

僕は、そう考えたから竹を割りまくった。
手も切った。割りすぎて握力が無くなった日もあった。
タダで貰える竹が、京都に住んでるからって、いつもある訳じゃない。
割る竹が無い時は、買ってきて割った。
買ってきて割る時は、緊張感が半端無かったので、とてもいい練習になった。
割りまくった竹のスプリットの内の使えない物は、亡くなった親父が焚付に使っていたのを、覚えている。
「処分するんは、大変なんやぞ。。。」
そう言いながら笑っていた。

何十本目ぐらいからだろうか。
段々、ほぼ同じ幅で割れる様になってきたのだ。
割り方にもコツがある。それを自分で考えて割り方を見つけたのだ。
(なので、僕は本に書いてある通りの割り方をしていません。我流です。)

もちろん、「書籍に書いてある割り方が間違っている。」と、言っているのでは無い。
僕は僕なりのやり方を見つけたかったのだ。それで、苦労して見つけただけの事。

今では、割ったスプリットを合わせると、何処で割れているかパッと見は分からないぐらいに割れる様になった。(修正していないので、ピッタリ合わさるのだ。削って修正していると、こうはいかない。)
もちろん、修正していないので、変な繊維の途切れも無い。


割れていないようで、割れている竹のスプリットがあるのが解るだろうか?(笑)


もし、あなたが本当にバンブーロッドが欲しいのなら、ぜひ、ビルダーさんに尋ねてみてほしい。
「割った竹を見せてもらえますか?」と。(笑)

こんな視点でバンブーロッドを選んでみるのも楽しいと思う。
バンブーロッドなんて、思い入れの塊の様な物なのだから。






*こんなノウハウも当工房で竿をお作りになられる方には、全て無料でお教えします。ぜひ、お考え下さい。




追記
また新たに動画をアップロードしました。
今度は2.2gのルアーから、そのままのセッティングで7.8gのルアーまで投げています。
ぜひ、御覧下さい。