2014年2月17日月曜日

"Sharpening the Blades"

刃砥ぎ

「物を作る時は、段取り八分やぞ。」

亡くなった父が良く言っていた。父は植木職人をしていた時期があったので、その頃に覚えたのだと思う。確かにバンブーロッドを作る時もしっかり準備ができていないと、途中でやる気が萎える。

「刃砥ぎ」もできていないと、途中でとても「時間ロス」になる。
なので、「削り」の作業に入る前に、必要な枚数分、替刃を研いでおく。

洋鉋は和鉋と違って、刃砥ぎはとても楽だ。裏打ち等も必要ないし、とても効率的だ。
ただ、楽とは言っても砥ぎ方をしっかり学ばないと、まともには研げない。
僕も刃がしっかり砥げる様になるには、だいぶかかった。






竹竿作りを始めるまで、僕は刃物なんか砥いだ事も無かった。
なので、最初は訳も分からず近くのホームセンターに砥石を買いに行って、説明書通りにとりあえず砥いでみたのだが、、、、いくら砥いでも砥げなかった。
当たり前だ。刃裏を研ぐ事さえ知らなかったのだから。
父に聞いてみても、刃物は刃物屋さんに頼んで砥いでもらっていたらしく、良く分からないと言う。

とりあえず、このままでは埒が明かないので、いろいろ自分で調べてみる事にした。
そうすると、いくつかのページや洋書で研ぎ方のアドバイスをしていたので、やっと刃の研ぎ方を見つける事ができた。

「まずは砥石の平面を出す。」
平面出しを使うかコンクリートブロック等でこすって平面を出す。最初、僕はこれをやっていなかった為、刃が丸く砥げてしまった。丸く研ぐと端が削る対象物に当たらないので削れない。しょっちゅう平面出しをするのが面倒なので、今は硝子砥石を使っている。全く出さないでいい訳ではないが、普通の砥石に比べれば平面出しをする回数は極端に減る。いろいろ調べたり、自分で検証してみて今は#8000の砥石まで使って砥いでいる。

「次に刃裏を研ぐ」
刃の裏面を刃先から数センチ、鏡面になるまで研ぐ。 僕は、これもやっていなかった。
まともに削れない訳だ。。。

「少し返りがでるまで、刃表を研ぐ」
刃表を研ぐ時の力加減もネットで検索して見つけた。殆ど力を入れずに軽く手を乗せた状態で砥ぐのが良いらしい。これも僕は間違っていた。結構な力で押さえつけて砥いでいた。当たり面をたまに確認しながら、軽く手を乗せた状態で砥ぐ。砥ぐ角度は秘密だが(笑)、結構な角度を付けて砥いでいる。

こうやって、研ぎ方を間違わずに砥いだ刃で削ってみると、今までが嘘の様に削れる様になった。(今まではたまに削れる刃もあるのだが、ほとんどは少し削ると直ぐに全く削れなくなっていたのだ。)

しっかり削れる刃で削った竹辺と、削れない刃で無理やり削った竹辺は精度が段違いになる。ちゃんと砥ぐことができる様になった事で、削りの精度も大幅に上げる事ができた。

竹竿作りに大事でない工程等、無いという事を、改めて思い知らされた出来事だった。