2014年2月25日火曜日

"Making the Grip"

魚香竿では少し他のメーカーと違うグリップの作り方をする。

アマチュアの方でも、最近はロッドメイキングをされる方がたくさんいらっしゃるのでご存じの方も多いと思うが、普通にロッドのグリップを組む時は、先にコルクリングを接着しておいて成形してからブランクスに接着、もしくは成形済みのグリップをブランクスに接着するのが通常の組み方だと思う。

しかし、魚香竿では先にコルクリングを一個ずつ接着してからブランクスと一緒に回して成形する。

少し分かり難いので先に写真を見てもらう。
最近Facebookページにアップしていた写真なので、見て頂いた方もいらっしゃると思う。



まずはリアグリップになる分のコルクリングを接着する。



リアグリップを成形したらリールシートとフォアグリップになる分の
コルクリングを接着する。



フォアグリップを成形してグリップの完成。


いかがだろうか? 魚香竿のグリップの作り方がよく解ると思う。
簡単に製法を紹介すると、まず一個ずつコルクをブランクスに通していく。元々の穴径はブランクスより小さいので接着剤を使わなくても動かないぐらい、しっかりとブランクスに密着する。このしっかり密着するというのがこの製法の最大の特色である。そして完全に接着剤が硬化したら成形して完成だ。

では、なぜこんな手間のかかる作り方をしているのか?
大メーカーでさえ通常の作り方をしているのにもかかわらずだ。

理由は簡単。
グリップの硬さがまるっきり違うのだ。
魚香竿のロッドを触って頂く機会があれば、すぐに解って頂けると思うが、普通のグリップとは全然違う。もちろん、グレードの高いコルクリングを使用している為、固いというのも理由としてはある。だがしかし、それだけではない硬さがこの製法なら出せるのである。

実はこのグリップの作り方は、バンブーロッドとしては特別な作り方ではない。
バンブーロッドのフライロッドの世界では、ごく当たり前の作り方である。
僕はバンブーでフライロッドも作るので、当然この製法は知っていた。ただ、グラファイトやグラスのブランクスでのみロッド製作している方には、あまり馴染みは無いかもしれない。

もちろん、通常の組み方で組んでみた事もある。しかし、今、行っている製法で作ったグリップと比べると満足のいく仕上がりにはならなかった。
正直、通常の組み方で組んだグリップでも単体で触ると、充分使えるグリップなのだ。だが、比べてしまうとどうしても見劣りしてしまう。なので、あえて手間のかかる方法を選んだ。

そのおかげで最高のグリップの感触を、魚香竿のロッドでは味わってもらえる。
しっかりコルクがブランクスに密着しているので感度もよく、握って心地いい。そんなグリップに仕上がっている。釣りをしている間中ずっと触っている物だから、とことん拘った。

ぜひ、機会があれば触って見て頂きたい。
僕が言っている事が直ぐに解って頂けると思うから。


今日の作業中のBGM

フレットレスベースとエレピの音が心地いいGary Willisのソロ作。トライバルテックのトリッキーなプレイとは一味違う渋目のアルバムです。おすすめ。

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