2014年2月23日日曜日

"Sanding the Enamel"

エナメル質の除去

言葉だけ聞くと、何の事だか解らない人の方が多いだろう。

竹の表皮はエナメル質でできている。
もちろん、竹の表皮だから平面ではなく曲面である。竿にする為に、断面を正三角形に削った竹辺を6本貼り合わせるのだが、和竿の削り穂とは違って全て表皮側を外側に持ってくる。表皮側も曲面では困る(表皮を活かした仕上げ方をしていらっしゃるビルダーさんもいらっしゃる様だが、、、)ので、きっちり平面に仕上げる。この事を、簡単に「エナメル質の除去」と呼んでいる。

曲面では困ると書いたが、何故困るのか?
それは、竹辺の強さが一定にならないからだ。
竹の部位の中でエナメル質の表皮は、実は一番強い部位になる。そのまま活かせれば、とても強い竿ができるのだが(和竿は残してありますよね?だから貼りあわせてある訳でも無いのに、あれだけ強いんです)、一つとても大きな問題がある。

そう、曲面だという事だ。
曲面だと、何がいけないのか? 一定した曲面ならいいのだ。だが竹の表面なので絶対に一定にはならない。一定の曲面では無いという事は、一定した強さの竹辺にはならないという事だ。それでは、竿の材料にはならない。

一定した強さの竿の材料にする為に、表皮を最小限だけ削ってきっちり平面に仕上げる必要があるのだ。





表皮を平面化する為に、専用の洋鉋とサンドペーパーを使って平面化する。
削り過ぎると、確実に竿が弱くなるのでとても気を使うが、同時に本当に綺麗な竹の表面が現れてくるので、とても楽しい作業でもある。

まず最初に洋鉋を使って、ざっくりと表皮を削る。ざっくりといっても削り過ぎるとマズイので、ほんの少しずつ削る。ある程度削れたら、今度はサンドペーパーを台木にきっちり巻いて平面化していく。最初は#240ぐらいから初めて、最終は#600で仕上げる。貼りあわせてから、もう一度きっちり仕上げるので、ここではそこそこまで仕上げたら良しとする。

きっちり表皮を平面化すると、貼り合わせる前の竹辺の角はカッターの刃にも等しく切れる様になる。迂闊に手を滑らせたりしたら、本当にカッターで切ったかの様な切れ味でスパッと切れる。今までに何度か誤ってやってしまった事があるので、気を付けて作業する様にしている。

表皮の平面化が終わると、次はいよいよ最終的なテーパーでの削りに入る事になる。


*このブログではBamboo Rod Buildingの項目については、製作の順番通りに記事を書いていません。全体の制作順序等は、また別の記事で書きたいと思っています。



今日の作業中のBGM

ジャコの30歳の誕生日に録音されたライブアルバム。豪華ゲストも参加していて、とても聴き応えのある一枚です。全盛期のジャコの名演。やっぱジャコいいです(笑)

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