2014年2月27日木曜日

Triple or Single ?

使用フックの話である。

僕は、基本キャッチ&リリース派なので、ルアーのフックは全てシングル、バーブレスフックに交換している。もちろん、「絶対にこうしなければいけない。」とか、「持ち帰るな。」と、言っている訳ではないし、言う気もさらさら無い。個人の自由だと思うし、あくまで僕がこうしたいからしているだけ。

何年か前のワレットの中身です。全部シングル、バーブレスです。

どっちが優れているとかじゃなく、どちらにもメリット、デメリットがあるので、その辺りを書いてみたい。

まずはトリプルフックから。

もちろん、シングルフックに比べて針の数が3倍になるので、その分魚に刺さりやすい。
渓流用のミノーは、元々トリプルフックの使用を前提で作ってあるルアーの方が多い。(最近はシングルフック前提の物も増えてきましたが。。)
メリットがこのぐらいだろうか?

魚に刺さりやすい分、体に刺さる(引っかかる)可能性も高くなる。(リリースした時の生存率が低くなる。キープしかしない人にはデメリットにはならない)
針が3本あるので、魚がかかってからバレやすくなる。(2本以上かかっている場合は除く。1本しか刺さっていない時は、他の針が魚やルアーに当たって刺さっている針が抜けやすくなる為。試しにトリプルフックのバーブレスを使ってみてもらえば、解ってもらえると思います。とてもバレやすいです。)デメリットはこのぐらい。

次はシングルフック。

フックポイントが1個しかないので、力が集中する為、刺さりやすい。
トリプルに比べて、針の動きの自由度が高く(天国針なら尚更)、フックアイからベンド部分(魚がかかる部分)がトリプルに比べて直線的なので、掛かってしまえばバレにくい。メリットはこのくらい。

トリプルに比べて、フックポイントが少ないので刺さりにくい。(魚が咥えてこない限り、刺さらない。たまに例外もあるが、、)
トリプルに比べて、重量、水への抵抗が減るのでルアーの動きが変わってしまう。(今は重量に関しては、トリプルとほぼ同じ重量にしてある物も市販されています。探してみて下さい。)デメリットがこれくらい。

次はバーブ(返し)有り。

もちろんバレにくい。これがメリット。

刺さりにくい。(試しにラインに結んだバーブ有りのフックとバーブ無しのフックをダンボール等にラインを引っ張って刺してみて下さい。バーブ有りがなかなか刺さらない(貫通しない)のにびっくりすると思います。)これがデメリット。

そしてバーブレス。

刺さりやすい。(バーブ有りと比べたら圧倒的です。)これがメリット。

バレやすい。(返しが無いのだから当然です。ただ、ラインにテンションがかかっていればバレは極端に少なくなります。)これがデメリット。


そして組み合わせた場合はこうなる。


トリプル、バーブ付き。

魚を掛けやすい。これがメリット。

魚の体に刺さりやすい。たまに両方のフックが体に刺さってエビのようになっている写真や映像を見る事がある。これは人によってデメリット。(僕はこれが嫌でトリプルを使うのを止めました)

障害物や川底等に引っ掛けてしまった場合、極端に回収率が下がる。これもデメリット。
ネットがグチャグチャになる(笑)これもデメリットですね。

バレにくい。これはメリット。の筈なんですが、意外とシングルと比べてバレにくさは変わりません。逆に針が一本しか刺さっていなかったりするとバレやすくなります。他の要因も絡んできますので絶対ではありませんが、、、


シングル、バーブレス。

掛かりにくい。これが一番のデメリットですね。但し、しっかり追わせて食わせる事ができれば(もしくは食わせの間を与える事ができれば)魚はちゃんと掛かります。

バレにくい。(これは魚が掛かってからラインのテンションを保っていられる人に限ります。釣りに慣れていない、もしくはシングルフックに慣れていない人は逆にバレやすくなります。要するに慣れ次第って事ですね(笑))

回収率の高さ。引っかかりにくさ。 これはメリットにもデメリットにもなります。障害物等に引っ掛けてしまった場合は、明らかにメリットになります。川底等への引っ掛かりにくさは、底を取って釣りができるメリットにもなりますが、魚への刺さりにくさにもなっているので、考え様によると思います。

刺さりやすい。1本しか針が無い上に返しもないので、少ない力でも、とても刺さりやすい。これはメリットですね。


いかがでしょうか? 意外と両者に差が無い事に驚かれたでしょうか? 逆にトリプルのほうがデメリットが多いぐらいです。(但し、シングルの方は取り扱いに慣れるまでは、デメリットの方が多くなってしまうのですが。。)

僕はできるだけ魚に対してローインパクトに釣りをしたいので、シングル、バーブレスを使用していますが、考え方は人それぞれですし、全然違う意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。上記で書いた様なメリット、デメリットを参考にして頂いて、自分でもしっかり調べたり考えたりしてフックを選んで頂ければと思います。

ただ、慣れてくるとシングル、バーブレスはとても快適に釣りができる事は確かです。
ぜひ、御一考下さい。


今日の作業中のBGM

ファンク系ジャズの好きな方におすすめ。オルガンサウンドに渋いギターがたまりません(笑)

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2014年2月25日火曜日

"Making the Grip"

魚香竿では少し他のメーカーと違うグリップの作り方をする。

アマチュアの方でも、最近はロッドメイキングをされる方がたくさんいらっしゃるのでご存じの方も多いと思うが、普通にロッドのグリップを組む時は、先にコルクリングを接着しておいて成形してからブランクスに接着、もしくは成形済みのグリップをブランクスに接着するのが通常の組み方だと思う。

しかし、魚香竿では先にコルクリングを一個ずつ接着してからブランクスと一緒に回して成形する。

少し分かり難いので先に写真を見てもらう。
最近Facebookページにアップしていた写真なので、見て頂いた方もいらっしゃると思う。



まずはリアグリップになる分のコルクリングを接着する。



リアグリップを成形したらリールシートとフォアグリップになる分の
コルクリングを接着する。



フォアグリップを成形してグリップの完成。


いかがだろうか? 魚香竿のグリップの作り方がよく解ると思う。
簡単に製法を紹介すると、まず一個ずつコルクをブランクスに通していく。元々の穴径はブランクスより小さいので接着剤を使わなくても動かないぐらい、しっかりとブランクスに密着する。このしっかり密着するというのがこの製法の最大の特色である。そして完全に接着剤が硬化したら成形して完成だ。

では、なぜこんな手間のかかる作り方をしているのか?
大メーカーでさえ通常の作り方をしているのにもかかわらずだ。

理由は簡単。
グリップの硬さがまるっきり違うのだ。
魚香竿のロッドを触って頂く機会があれば、すぐに解って頂けると思うが、普通のグリップとは全然違う。もちろん、グレードの高いコルクリングを使用している為、固いというのも理由としてはある。だがしかし、それだけではない硬さがこの製法なら出せるのである。

実はこのグリップの作り方は、バンブーロッドとしては特別な作り方ではない。
バンブーロッドのフライロッドの世界では、ごく当たり前の作り方である。
僕はバンブーでフライロッドも作るので、当然この製法は知っていた。ただ、グラファイトやグラスのブランクスでのみロッド製作している方には、あまり馴染みは無いかもしれない。

もちろん、通常の組み方で組んでみた事もある。しかし、今、行っている製法で作ったグリップと比べると満足のいく仕上がりにはならなかった。
正直、通常の組み方で組んだグリップでも単体で触ると、充分使えるグリップなのだ。だが、比べてしまうとどうしても見劣りしてしまう。なので、あえて手間のかかる方法を選んだ。

そのおかげで最高のグリップの感触を、魚香竿のロッドでは味わってもらえる。
しっかりコルクがブランクスに密着しているので感度もよく、握って心地いい。そんなグリップに仕上がっている。釣りをしている間中ずっと触っている物だから、とことん拘った。

ぜひ、機会があれば触って見て頂きたい。
僕が言っている事が直ぐに解って頂けると思うから。


今日の作業中のBGM

フレットレスベースとエレピの音が心地いいGary Willisのソロ作。トライバルテックのトリッキーなプレイとは一味違う渋目のアルバムです。おすすめ。

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2014年2月23日日曜日

"Sanding the Enamel"

エナメル質の除去

言葉だけ聞くと、何の事だか解らない人の方が多いだろう。

竹の表皮はエナメル質でできている。
もちろん、竹の表皮だから平面ではなく曲面である。竿にする為に、断面を正三角形に削った竹辺を6本貼り合わせるのだが、和竿の削り穂とは違って全て表皮側を外側に持ってくる。表皮側も曲面では困る(表皮を活かした仕上げ方をしていらっしゃるビルダーさんもいらっしゃる様だが、、、)ので、きっちり平面に仕上げる。この事を、簡単に「エナメル質の除去」と呼んでいる。

曲面では困ると書いたが、何故困るのか?
それは、竹辺の強さが一定にならないからだ。
竹の部位の中でエナメル質の表皮は、実は一番強い部位になる。そのまま活かせれば、とても強い竿ができるのだが(和竿は残してありますよね?だから貼りあわせてある訳でも無いのに、あれだけ強いんです)、一つとても大きな問題がある。

そう、曲面だという事だ。
曲面だと、何がいけないのか? 一定した曲面ならいいのだ。だが竹の表面なので絶対に一定にはならない。一定の曲面では無いという事は、一定した強さの竹辺にはならないという事だ。それでは、竿の材料にはならない。

一定した強さの竿の材料にする為に、表皮を最小限だけ削ってきっちり平面に仕上げる必要があるのだ。





表皮を平面化する為に、専用の洋鉋とサンドペーパーを使って平面化する。
削り過ぎると、確実に竿が弱くなるのでとても気を使うが、同時に本当に綺麗な竹の表面が現れてくるので、とても楽しい作業でもある。

まず最初に洋鉋を使って、ざっくりと表皮を削る。ざっくりといっても削り過ぎるとマズイので、ほんの少しずつ削る。ある程度削れたら、今度はサンドペーパーを台木にきっちり巻いて平面化していく。最初は#240ぐらいから初めて、最終は#600で仕上げる。貼りあわせてから、もう一度きっちり仕上げるので、ここではそこそこまで仕上げたら良しとする。

きっちり表皮を平面化すると、貼り合わせる前の竹辺の角はカッターの刃にも等しく切れる様になる。迂闊に手を滑らせたりしたら、本当にカッターで切ったかの様な切れ味でスパッと切れる。今までに何度か誤ってやってしまった事があるので、気を付けて作業する様にしている。

表皮の平面化が終わると、次はいよいよ最終的なテーパーでの削りに入る事になる。


*このブログではBamboo Rod Buildingの項目については、製作の順番通りに記事を書いていません。全体の制作順序等は、また別の記事で書きたいと思っています。



今日の作業中のBGM

ジャコの30歳の誕生日に録音されたライブアルバム。豪華ゲストも参加していて、とても聴き応えのある一枚です。全盛期のジャコの名演。やっぱジャコいいです(笑)

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2014年2月20日木曜日

BGM

僕にとって生活から切り離したくない物の一つ。

このブログを読んで下さっている皆さんは、何かに集中したい時に音楽を聴くだろうか?
音楽なんか聴いたら集中できないでしょ!と、いう方も多数、居らっしゃると思う。

ただ、僕と同世代の人には解ってもらえるかもしれない。
僕が生まれた世代というのは、丁度ベビーブームの頃に生まれた世代の方だ。
80年代に10代を過ごされた方たちなら「深夜ラジオ」を勉強の時に聞いていた方が、多数いらっしゃるのではないだろうか?
僕もその口だ。

元々、子供の頃から音楽を聴くのは好きだった。

僕がまだ幼稚園児の頃から、亡父は車でMiles Davisだ、Art Blakeyだ、Oscar Petersonだと、自分の好きなジャズをかけまくっていた。普通は嫌がるのだろうが、一緒になって聴いていたらしい。(笑)

小学校の担任の先生で変わった先生がいて、音楽の授業時間に「いい音楽を聴くぞ!」と言って、試聴室に連れて行かれYMOを聴かせてくれた先生がいた。よっぽど衝撃的だったのか僕の小学校の卒業文集には、尊敬する人の欄に坂本龍一と書かれている(笑)音楽の授業は大嫌いだったくせにである。
ちなみにこの先生もそんな事をするぐらいだから音楽が大好きで、退職された今ではジャズハウスでドラムを叩いていると聞いている。

中学に入って、少し聞かなくなっていたのだが、受験勉強をやり始める前ぐらいから「深夜ラジオ」を聴き始めた。
なんとなく、夜に一人で勉強してるのが嫌で聴きだしたのが、最初の理由だったのだが、ラジオから流れてくるいろいろな音楽を聴いていると、なんとなく救われる気がして、段々何か聞きながらの方が集中できる様になってきた。
さすがにあまり激しい音楽では集中できないので、できるだけ静か目で尚且つクラシックの様に眠くならない音楽(今は聴けますよ!当時は。。。(笑))をかけている局を選んで聴いていた。

高校に入って、亡父が家にベースを持って帰ってきた。
「何これ?」
「今度、消防分団で夏祭りする時にバンド演る事になってなぁ。いらん奴があるからって、くれたんや。お前も興味があったら演ってみるか?
「う〜ん、、、どうせ演るんやったらメロディー弾ける楽器がええなぁ。。ギターとか。。」
最初のきっかけはこんな感じだったのだが、バイト代を注ぎ込んでAriaProの中古のギターを近所の店で買った。おかげで、下手ながら気の合った仲間と高校在学中から卒業して数年はバンドで遊んでいた。コピーバンドだったのと、極度の上がり症なもんでライブなんかは全然しませんでしたが。。ちなみにこの頃はハードロックとかヘビメタとか聴いてました(笑)Guns'n Rosesとか好きだったなぁ。。

さすがにバンドの仲間も就職して会いづらくなり、バンドは自然解散になり、僕はバイクに夢中になっていったのだが、音楽は変わらず聴いていた。自分でも下手なりに弾く様になったから音楽もより分かる様になり、何をするにも音楽を聴いていた。

仕事を始めてからも、職場にはずっと音楽が流れている環境の職場ばかりだったので、今度は逆に音楽が流れていないと気持ち悪くなってきた。
もちろん集中力がギリギリまで高まっている時は、音楽も耳には入っていないのだが、それでも何か音楽をかけていたい。ちょっと、解りにくいかもしれないが解ってもらえるだろうか?

最近は亡父の影響もあってか、ほぼジャズを聴いている。8割ジャズで1割ブルース、残りがその他って感じだ。ジャズにもいろいろあって正統派のジャズもあれば、僕みたいなバンド上がりの人間でも楽しく聞けるジャズもあるし、聴いていて飽きる事がない。どんどんCDの数も増えていって、今では毎日一枚ずつ違うアルバムをきいても2年ぐらいは聴けるぐらいに増えた。そこで皆さんに僕が作業中に聴いているアルバムを「今日の作業中のBGM]として、一枚ずつ紹介してみようと思う。試聴も出来る様にリンクを張っておくので、良ければ聴いてみて頂きたい。紹介したアルバムが一枚でも気に入って頂けると嬉しいのだが。。。

今日の作業中のBGM

今のJAMシーンを先頭きって突っ走ってるお爺ちゃんです(笑)ロック好きの方にも聴きやすいと思います。僕の中の名盤

A Go Go
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2014年2月18日火曜日

Customers

お客様。

最初は、もちろんそうだった。
普通にお店に来られるお客様の一人に過ぎなかった。(僕は元々、某釣具屋をやっていました)
だけど、今では友人とも呼べるお付き合いをして下さる方が何人かいらっしゃる。
もちろん、僕の竿を買ってくれたお客様なのだから、お客様には違いないのだが。。。
でも、僕の中では友人だと思わせてもらっている。
頻繁に連絡を下さるし、釣果写真を送ってもらったりもしている。
たまには、馬鹿話もするし、昔からの友人の様だ。

きっかけは何だったかは、もう覚えていない。
最初は、ブラックバスが大好きなお客さんだった。
でっかいプラグだけをバンバン投げて、琵琶湖でデカイ魚を釣っておられた。
ただ、長い事やりすぎて、少々飽きが来られていたのかもしれない。

「トラウト面白いですよ」

こんな会話がきっかけだったろうか?
ある日を境に、トラウトにどっぷり嵌り始められた。
元々、釣りの上手な方だったので、トラウトもあれよあれよという間に上達されて、今では、僕より全然上手い。
元々、熱い方なので、ハマり方も半端じゃなかった。
とりあえず、この方、釣りに行きまくる。
釣具屋というのは、皆さん「好きな釣りが出来ていいね〜。」と、仰るがそんなもんじゃない。お客様より釣りには行けない。行けないのに釣具は売る程あるから、余計質が悪い(笑)
たった数年で僕の全釣行回数をあっさり抜いたんじゃないだろうか?
それに情報収集力も半端じゃない。岐阜の方にお連れさんが居らっしゃるらしく、今はどこそこが良くて、ここはもう少し後。等、とても詳しい。
研究熱心だから、やっぱり良く釣ってこられる。
場所は、もちろん言わないが、えっ?そこで、その魚、釣れたの?と、聞きたくなる様な魚をしょっちゅう釣ってこられる。
あんまり釣ってこられるものだから、今ではテスターをお願いしている。

この方、アウトドアも大好きなので、一緒に釣りに行くと昼飯がちょっと豪華になる。(笑) 僕が店を辞めて、ビルダーとしてHPを立ち上げてからも、ずっと応援して下さっている。本当に有難い友人、もといお客様の一人だ。
今も、次のテストロッドのテストをお願いしているので、待ってもらっている。
多分、次の次で制作開始になると思うので、待っててくださいね。Oさん(笑)


この写真も、Oさんと一緒に行った時に、いつの間にか撮って下さった一枚だ。

もう一人、今の所、僕の竿を一番買ってくれたお客様にTさんが居らっしゃる。
とても若い方なのだが、この方も熱い。

やっぱり最初は「トラウト面白いですよ」から、始まったような気がする。

いきなり竿を買って下さりそうになったのだが、一度一緒に釣りに行って、気に入ったら買って下さればいいですよ。と、いう話になった。

そして、初釣行。 なんとか初めてのアマゴを釣って頂いて、無事、ご購入頂けた。(笑)

ただ、そこからがまた凄い。


最初に買って頂いたのは、スピニングロッドだった。でも、その頃からベイトロッドのテストをしていたので、「その竿も面白そうですね」という話になった。
元々、この方もブラックバスが大好きでしょっちゅう釣りに行っておられた。
ブラックバスでは、ベイトロッドの方が多用するのでアキュラシー性を求められての「面白そうですね」だったと思う。

段々、ベイトロッドの可能性を見つけ出していた頃だったので、竿の方も大分、仕上がってきていた。
「それじゃ、一回使ってみます?」
そんな言葉で、また一緒に釣行に行くことになった。

この時の釣行が動画に撮れていたら、本当にいいPRビデオになっただろうなと思うくらい、釣れた。
ちょうど、雨後で水位が落ち着いてきた頃と、条件も良かったのだが、それだけが理由じゃない。
初釣行の時は、慣れないスピニングのアキュラシーキャスト(正確なキャスト)に苦労しておられたのだが、この時は違った。
指示したポイントにさくさくルアーが入るのだ。ここはと思うポイントからは、全て魚が出た。2〜3投してダメでもルアーをチェンジしてもらって投げてもらうと、きっちり魚が出た。この辺りも着水音を極力静かにできるベイトのメリットだと思う。
元々、ベイトに慣れておられたからの結果だとは思うが、やっぱり渓流ベイトは可能性があると思った釣行だった。
もちろん、この後、ベイトのテストロッドを一本お買い求め頂いた。(笑)
この後も、一人で釣りに行かれては、結構釣ってきておられたので気に入って頂いていると思う。

こうしてTさんも、今でもたまに連絡をして下さる、とても若い友人、もといお客様の一人になった。

僕の目指す顧客層とは、こういう事だと思う。

ただのお客様では嫌なのだ。
せっかく、高いお金を出して買って頂けるのだ。
僕としては、できれば友人の様なお付き合いをお願いしたい。
その為の、「購入後曲げ取りは無料で行います」なのだ。
「釣行写真を送って下さい」なのだ。

商売としては、どうなのかとは思うが、そうしたいのだから仕方がない。
もちろん、そんな面倒くさいのは嫌という方は、それでも構わない。

でも、せっかく釣りの好きな物同士、話が少しでもできれば楽しいと思う。

他にも面白いお客さんや仲の良い友人の様な方も、何人か居らっしゃるのだが、その話は又の機会にしようと思う。

Oさん、Tさん、これからも宜しくお願い致します。


2014年2月17日月曜日

"Sharpening the Blades"

刃砥ぎ

「物を作る時は、段取り八分やぞ。」

亡くなった父が良く言っていた。父は植木職人をしていた時期があったので、その頃に覚えたのだと思う。確かにバンブーロッドを作る時もしっかり準備ができていないと、途中でやる気が萎える。

「刃砥ぎ」もできていないと、途中でとても「時間ロス」になる。
なので、「削り」の作業に入る前に、必要な枚数分、替刃を研いでおく。

洋鉋は和鉋と違って、刃砥ぎはとても楽だ。裏打ち等も必要ないし、とても効率的だ。
ただ、楽とは言っても砥ぎ方をしっかり学ばないと、まともには研げない。
僕も刃がしっかり砥げる様になるには、だいぶかかった。






竹竿作りを始めるまで、僕は刃物なんか砥いだ事も無かった。
なので、最初は訳も分からず近くのホームセンターに砥石を買いに行って、説明書通りにとりあえず砥いでみたのだが、、、、いくら砥いでも砥げなかった。
当たり前だ。刃裏を研ぐ事さえ知らなかったのだから。
父に聞いてみても、刃物は刃物屋さんに頼んで砥いでもらっていたらしく、良く分からないと言う。

とりあえず、このままでは埒が明かないので、いろいろ自分で調べてみる事にした。
そうすると、いくつかのページや洋書で研ぎ方のアドバイスをしていたので、やっと刃の研ぎ方を見つける事ができた。

「まずは砥石の平面を出す。」
平面出しを使うかコンクリートブロック等でこすって平面を出す。最初、僕はこれをやっていなかった為、刃が丸く砥げてしまった。丸く研ぐと端が削る対象物に当たらないので削れない。しょっちゅう平面出しをするのが面倒なので、今は硝子砥石を使っている。全く出さないでいい訳ではないが、普通の砥石に比べれば平面出しをする回数は極端に減る。いろいろ調べたり、自分で検証してみて今は#8000の砥石まで使って砥いでいる。

「次に刃裏を研ぐ」
刃の裏面を刃先から数センチ、鏡面になるまで研ぐ。 僕は、これもやっていなかった。
まともに削れない訳だ。。。

「少し返りがでるまで、刃表を研ぐ」
刃表を研ぐ時の力加減もネットで検索して見つけた。殆ど力を入れずに軽く手を乗せた状態で砥ぐのが良いらしい。これも僕は間違っていた。結構な力で押さえつけて砥いでいた。当たり面をたまに確認しながら、軽く手を乗せた状態で砥ぐ。砥ぐ角度は秘密だが(笑)、結構な角度を付けて砥いでいる。

こうやって、研ぎ方を間違わずに砥いだ刃で削ってみると、今までが嘘の様に削れる様になった。(今まではたまに削れる刃もあるのだが、ほとんどは少し削ると直ぐに全く削れなくなっていたのだ。)

しっかり削れる刃で削った竹辺と、削れない刃で無理やり削った竹辺は精度が段違いになる。ちゃんと砥ぐことができる様になった事で、削りの精度も大幅に上げる事ができた。

竹竿作りに大事でない工程等、無いという事を、改めて思い知らされた出来事だった。

2014年2月15日土曜日

Digital or Analog ?

あなたは、魚を釣りあげた後はどうしていますか?

魚籠に入れる?
必要以上に持って帰るのでなければ、それもいい。

それとも、写真に収めて魚はリリース?

デジタルキープという言葉を、最近よく耳にする様になってきた。
言葉通り、魚籠には収めず、デジタルカメラに収める事を言う。

僕も、キャッチアンドリリース派なので、やはり釣った魚はカメラに収めて、お帰り頂いている。刺さりどころが悪くなくて、取り扱い方さえ間違わなければ魚はリリースしてもちゃんと生き残るし、また遊んでほしいので、そうしている。

昔は、カメラなんて渓流には持って行かなかった。
持って行ってもせいぜい携帯ぐらいで、たいして画質の良くない携帯で写真を撮っていた。正直、写真を撮っている時間が勿体無く思えたし、写真で時間を潰すぐらいなら、もっと釣っていたかった。

なのに、なぜカメラを持っていく様になったか?

事故のせいだ。
HPにも書いたが、僕は足が事故のせいであまり良くない。
長時間、歩いていると痛みが出てくるので、あまり無理もできない。
それでも、渓流には行きたいからどうしたら良いか考えた。
考えた上での結論が「カメラを持っていく」だった。

カメラを持って行っていれば、魚が釣れたり、綺麗な景色に出会った時に、自然と撮影するだろうし、撮影する時間が丁度良い休憩になると思ったのだ。

実際、その通りになった。
渓流には、釣り人にしか見えない風景がたくさんあった。
それらをカメラで切り取りながら釣りをする事で、短い釣行時間でも充分満足する事ができる様になった。おまけに、帰ってから写真をつまみに酒まで飲める様になった(笑)
一石二鳥どころか一石三鳥である。

ただ、一緒に悩ましい悩みも連れてきた。

「どんなカメラを持っていくか?」という悩みだ。

最初の内は、よくあるコンパクトデジタルカメラでも充分に満足できていた。
でも、しばらく経ってくると、もっと綺麗な写真が撮りたくなってきたのだ。

コンデジでは、どうしてもボケの写真は取りにくい。
魚の眼にピントを合わせて写真を撮っても、全部がはっきり写ってしまって、なんだか記念写真の様になってしまうのだ。

ある時、試しに、持っていたアナログ一眼カメラにポジフィルムを詰めて、持って行ってみた。帰ってきてから現像に出して、返ってきた写真を見たら。。。。。
当然だがコンパクトデジカメとは、比べ物にならない、きれいな写真が撮れた。
やっぱり一眼を持って行こうかなと思ったのだが。。。。

一眼には欠点もある。重いのだ。
正直、釣りしている時に、あまり重い荷物は持って行きたくない。
それに、古いカメラだと、もし落としたらショックで立ち直れない。
現像代もかかる。

もしデジタルカメラにすれば、アナログ一眼の欠点は全て解消する。
小さいものにすれば、全然軽いし、軽い防水のものもある。現像代はタダだ。

どうしようか、悩んでいた時に今、使っているカメラが発売された。
コンデジなのにフルサイズの写真が撮れる機種である。
これなら、一眼の様なボケのきれいな写真も撮れる。防水の面は諦めないと仕方がないが。。。

これで解決だと、思っていたのだが、、、
やっぱり、アナログ一眼も捨てがたいのだ。

結局、堂々巡りでずっと悩んでは、行く場所や誰と行くかに合わせて、いろいろ持っていっている。





2月15日 PM17:30 加筆
昨日の晩、結構寝ぼけながら書いたので、あまりまとまりのない駄文になっています。
申し訳ないので、修正しようかなとも思いましたが、これも僕という事でこのままにしておきます(笑)
Blogのデザインも大幅に変更しました。とりあえず、立ち上げた時の状態のままだったので、、、少し、見難くなったでしょうか? ご意見等あればFacebookページからメッセーッジをお送り下さい。参考にさせて頂きます。




2014年2月13日木曜日

Lure? Fly? Worm?

あなたはトラウトを釣るなら、どんな釣り方が好きだろうか?

ざっと上げると、「ルアーフィッシング」、「フライフィッシング」、「テンカラ」、「餌釣り」、、漁師でなければ、こんなものだろうか?

皆さんは、こんな僕のブログを見て下さってるぐらいだからルアーの方が多いと思う。

僕は、元々トラウトはフライフィッシングから始めた。

僕の親戚の叔父さんに、山登りの好きな叔父さんがいる。
その叔父さんが、一緒に山に登っていた仲間が美山でハーブを作っているから見に行こうと誘ってくれた。この叔父さん、車も大好きでその時は大事にしている古〜いフェアレディZで一緒に美山まで行った。

美山に着いて、「ここだよ。」と、案内された所は、とても雰囲気のあるログハウスで、併設されたハーブ園が、とてもいい香りをさせていた。

中に入ると、これまた見るからに山男という感じのオジサンが出迎えてくれた。
叔父さんの昔からの友達という事もあってお二人で盛り上がりだしたので、僕はその辺りを見物する事にした。

カントリースキーに使うスキー板や、庭道具などがキレイに整頓されて置かれている。
ふと壁の方に目をやると、一枚の写真が目に入った。

それは叔父さんのお仲間さんが、1mはあろうかというサケ科の魚とフライロッドを持ってニッコリ笑っている写真だった。

びっくりした。その頃はフライの知識などまるで無かったので、そんなデカイ魚が釣れるなんて思ってもみなかったから。

その後は、ご想像通り、お仲間さんを質問攻めにしてフライをやる気満々になっていた(笑) 確か、一週間も経たない内にフライショップに行って初心者向けのセットを揃えていたと思う。

とりあえず、あの時見た写真の様なデカイ魚が釣りたかったから、フライショップの店員さんに聞いて、大きい魚がいると評判の管理釣り場に行ってみた。
最初は、釣りもままならなかったが、管理釣り場の社長さんやフライショップの店員さんに教えてもらったりしながら通っている内に、そこそこ釣れる様になってきた。

その日も、いつもの調子で管理釣り場に行くと、そこの管理釣り場では珍しく、ルアーのお客さんが釣りをしていた。見ていると、これが全く釣れていない。こちらがいつも通り何匹も釣っているのに、ルアーの人はかすりもしていない。
あまりに釣れていないので、管理釣り場のお兄さんに聞いてみた。

「あんなにルアーでトラウトって釣れないものなんですか?」
「いや〜。。フライよりは釣れないとは思いますが。。。」

こう聞いて、僕の中の天邪鬼がいつも通り、動き出した。

釣ってやろうじゃん。。。。

早速、釣具屋さんに行って、また一揃え揃えて管理釣り場に行ってみた。

投げてみる。。。グンッ!! クイクイ!!

釣れるじゃん。。。。

こうなると、ハマるのも早い。(笑)

フライでも行きだしていた渓流でもルアーがやってみたくなって、ルアーロッドも買い足して2刀流で行く様になった。

その日の川の様子を見て、フライをやったりルアーをやったりしていた。

そのおかげで、とてもハイブリッドな釣り方ができる様になった。
フライをやっていてもルアー的な釣り方をしてみたり、その逆もする。
そういう釣り方をしていると、出家(ボウズの事です(笑))する事も少なくなった。

ただ、その当時の事だからフライショップでは白い目で見られたけれど。。。

今でも、たまに他の釣り方をしている人の事を悪しざまに言う人を見かける事があるが、どんな釣りも一度、体験した方がいいと僕は思う。

大抵、どんな釣りも楽しいし、面白い。ただ、自分に合うか合わないかだけ。
他の釣り方をしている人がマナーが悪く見えるのは、その釣り方を知らないという理由からそう見えるだけかもしれないし、大抵はその人個人のマナーが悪いだけ。

僕は餌釣りのおじさんとも喋るし、もちろんフライの人とも川で喋る。
ほんの一部の人を除いて、大抵は楽しく喋る事ができる。

せっかく同じ川で遊ぶ仲間なんだから、あの人は餌釣りだから。。とか、フライの人はとっつきにくそうだとか言わずに、みんな仲良くマナー良く釣りができたら一番いいと思う。

もうすぐ解禁だなぁ。。とか考えてて、ふとこんな事を思った。
皆さんはどう思いますか?


*渓流では、最低限のルールは守りましょう。漁券は必ず購入する。先行者を追い越す時は、必ず了解を得てから等。。。。



2014年2月11日火曜日

Madake

真竹

魚香竿でメインに使用している竹。



普通、バンブーロッドと言えばトンキンケーンと言う中国産の竹を使う。
僕も、最初の一本はトンキンケーンで作った。

トンキンケーンはパワーファイバー(竹の繊維の事)が太く厚い。いいトンキンケーンはずっしりと重い。トンキンケーンで竿を作ると、とても強い竿が作れる。
バンブーロッドに使用するには、とても都合のいい竹なのだ。

なら、なぜ使わないのか?
理由は、きれいなトンキンケーンがなかなか手に入らないから。
どうしても輸入の過程で傷が付いたりする事が多く、使える部分が少ない竹しか殆ど手に入らない。初めてトンキンケーンを扱っているショップに行った時に、思っていたより汚くて、びっくりした記憶がある。

僕は京都育ちだ。
子供の頃から、近所の竹藪で遊んでいたし、祖父に連れられて筍掘りに行ったりしていた。そのせいか、竹は綺麗なものという潜在意識があるのかもしれない。
竹藪は本当に綺麗なのだ。よく嵐山なんかの写真でご覧になった事もあると思う。僕の実家は嵐山に程近い所にあるので、あの写真そのものをずっと生で見てきたのだ。
トンキンケーンが汚く見えても仕方が無いのかも知れない。

僕の父は、僕が子供の頃は庭師をしていた。
なので、竹垣を作ったりしていたのを見ていたし、竹屋さんにも子供の頃に何度か連れられて行った記憶がある。その時も竹って綺麗だなぁと、感動した記憶が朧気にある。

そんな記憶がある所為か、結局すぐにトンキンケーンを使うのは止めてしまった。

竿作りを初めて間もない頃から、京都の竹屋さんを廻って使えそうな真竹を置いてある竹屋さんを探した。

竹は切ってきて、そのままでは竿作りに使えない。
竹に入っている油分を抜かないといけない。
油分を抜く抜き方も色々あるのだが、中には竿作りには使えない様になる抜き方もある。
最初はそれが分からなくて、一本一万円もした竹が使えなかったなんて、笑い話にもならない事もあった。色々、試した上で使えそうな竹はなんとか見つける事ができた。

ただ、真竹はとても綺麗なのだが、竿にするには厄介な点もいくつか有る。

まず、トンキンケーンに比べるとパワーファイバー層が細く薄い。なのに、ピス層と言って柔らかくて使えない部分はトンキンケーンより多いのだ。
それに、節もトンキンケーンに比べるととても高い。正直、曲がり直しの時は嫌になる位だ。
まだある。せっかく曲げ取りをしても放っておくと、すぐにまた曲がりが出る。なので、何回も曲げ取りを行わないといけない。

ここまで、書いていて「じゃあ、なんで真竹なんか使うの?」と、思った人もいるだろう。

理由は軽くてしなやかだから。
もちろん、綺麗だからというのも大きな理由。竿に仕上げた時の綺麗さは段違いだ。
どうしてもパワーファイバーが細く、層が薄いせいでトンキンに比べると弱くなってしまうのだが、圧倒的に軽く、深く曲がる。

僕が作りたい竿は、使ってくれるユーザーさんが笑顔でいられる竿。
笑顔でいる為には、使っていて楽しくないといけない。重くて、一日使うのがしんどい様な竿だと笑顔になんかなれないし、固い棒のような竿だと振るのがしんどくて疲れてしまう。それに、せっかく魚を掛けても、全然曲がらないような竿は使っていて面白く無いから笑顔になれない。そうやって考えると、真竹の方が都合がいいのだ。

真竹で作った竿はとても軽い。僕の竿は中空加工も施すので更に軽い。テーパーにもよるのだが、振り重りがしないので、結果一日中、振っていられる。

トンキンケーンで作った竿が太い針金の様な強さだとすると、真竹で作った竿はピアノ線の様なしなやかな強さがある。トンキンケーンの竿で、これ以上曲がったら折れると思うような所まで真竹の竿を曲げても、まだもう一段階、耐える事ができるのだ。

トンキンに比べて弱くなるのは、テーパーを考え直せばいい。(トンキンのデータが全く使えないので、大変ですが。。。)
節が高くて曲げ直しが大変なのは、我慢すればいいだけの事。

そう考えて、作り始めてから直ぐに使う竹を真竹に切り替えて、そのままずっと真竹を使っている。

もちろん、トンキンケーンの竿も頼まれれば作る。
でも、できれば真竹だけを使っていきたいと、今は思っている。




2014年2月9日日曜日

"Splitting the Bamboo"

竹割り

バンブーロッドを作る上で、一番最初に行う手作業。
選びに選び抜いた竹を、できるだけ細かく、使用する太さに割っていく。

竹を割って、三角形に削って火を入れる。ここまでの工程は、全て竿を作る為の「均一化された素材」を作る工程だ。もし、全く、均一化されていない素材で竿を作ったらどうなるか? 想像してもらえれば、結果は火を見るより明らかである。
この大事な工程の(大事じゃない工程っていうのも無いんですが。。)一番、最初の工程が竹割りなのだ。

竹の割り方にもいろいろある。
4ツ割や6ツ割といった、竹割器を使う割り方。
ドライバーの先端を加工して竹に楔を打ち、裂いていく割り方。
竹割鉈で、割っていく割り方。

僕は竹割鉈で割っている。





「簡単な作業だ。」と言うビルダーさんもいる。
「割れるようにしか割れない。」と言う竹屋さんもいた。

僕はそうは思わない。
この時点で、いかに等幅に割れるかで全ての精度が変わってくると思う。

よくバンブーロッドの製作方法の書いてある書籍で、「少し余裕を持って割りましょう。」、「細くなりすぎて使えなくなります。」等と、書いてある。

違うのだ。 「使えなくなる。」のが嫌だから「割りたい太さより、少し太く割っている。」だけなのだ。

使える様に、「割りたい太さより少し太めに割った竹」のスプリットで曲げ直しをするとする。もちろん、設定幅で割れない人が割った竹だから、竹のスプリット(竹辺の事)の幅もバラバラだ。いろいろな幅のスプリットの曲げ直しをするのは、いちいち力加減が変わるので一定の曲げ直しができなくなってしまう。(細い物と、太い物を曲げるんだったら、力加減は変わりますよね?)それだけならいいのだが、同じ幅にしようとして修正(ナイフやカッターで削る事)すると、竹の繊維まで切る事になってしまう。こうなると後で削る時に苦労するのだ。(ちゃんと挽回はできますが。。)

反論するビルダーさんもおられると思う。「どんな太さの竹のスプリットでも、曲げ直しできるのがプロだ。」と、仰るかもしれない。
その通りだ。どんな太さでも出来なきゃいけない。

でも、もし、同じ幅で一定して割れるのなら?
いつも同じ幅なので、曲げ直しをする時の力加減も一定し、曲げを取る時の熱の入れ方も一定して、より均一化された竿の素材が出来上がるはず。
もちろん、竹は自然素材なので、同じ太さ、同じ厚さの竹がずっと手に入る訳はない。
でも、同じ竿に使う竹のスプリットは、同じ竹から使うのだから、等幅に割れていればその竿の製作の間だけでも、同じ感覚で曲げ直しをする事ができる。これは、とてつもないメリットではないだろうか? 
同じ太さで割れている竹のスプリットの束と、割れていない竹のスプリットの束、どちらを曲げ直ししたいだろうか?

僕は、そう考えたから竹を割りまくった。
手も切った。割りすぎて握力が無くなった日もあった。
タダで貰える竹が、京都に住んでるからって、いつもある訳じゃない。
割る竹が無い時は、買ってきて割った。
買ってきて割る時は、緊張感が半端無かったので、とてもいい練習になった。
割りまくった竹のスプリットの内の使えない物は、亡くなった親父が焚付に使っていたのを、覚えている。
「処分するんは、大変なんやぞ。。。」
そう言いながら笑っていた。

何十本目ぐらいからだろうか。
段々、ほぼ同じ幅で割れる様になってきたのだ。
割り方にもコツがある。それを自分で考えて割り方を見つけたのだ。
(なので、僕は本に書いてある通りの割り方をしていません。我流です。)

もちろん、「書籍に書いてある割り方が間違っている。」と、言っているのでは無い。
僕は僕なりのやり方を見つけたかったのだ。それで、苦労して見つけただけの事。

今では、割ったスプリットを合わせると、何処で割れているかパッと見は分からないぐらいに割れる様になった。(修正していないので、ピッタリ合わさるのだ。削って修正していると、こうはいかない。)
もちろん、修正していないので、変な繊維の途切れも無い。


割れていないようで、割れている竹のスプリットがあるのが解るだろうか?(笑)


もし、あなたが本当にバンブーロッドが欲しいのなら、ぜひ、ビルダーさんに尋ねてみてほしい。
「割った竹を見せてもらえますか?」と。(笑)

こんな視点でバンブーロッドを選んでみるのも楽しいと思う。
バンブーロッドなんて、思い入れの塊の様な物なのだから。






*こんなノウハウも当工房で竿をお作りになられる方には、全て無料でお教えします。ぜひ、お考え下さい。




追記
また新たに動画をアップロードしました。
今度は2.2gのルアーから、そのままのセッティングで7.8gのルアーまで投げています。
ぜひ、御覧下さい。





2014年2月7日金曜日

PE Line

PE Line

ここ数年で渓流の釣りが劇的に変わった。
原因は使用ラインをナイロンからPEに変えた為だ。

元々、他の釣りではPEを使用していた。エギング、シーバス、バスのトップ等。。

だったら、なぜ渓流では使わなかったのか?

理由は、数年前までスピニングで釣りをしていたから。
スピニングで釣りをする時に、ナイロンラインに何ら不便を感じていなかった。
メインで使っていたカーディナルには、ナイロンラインがベストマッチに思えたし、実際他のアングラーも皆ナイロンラインだったから。

雑誌の記事等で”PE"の特集が組まれても、「渓流でPEは使いにくいでしょ。。ラインシステムも面倒だし。。」と、手を出さなかった。

ならなぜ、PEを使い出したのか?

たまたまだ。本当に偶然である。
その当時は、釣具屋を経営していたので、もちろんPEラインも販売していた。
その頃、仲の良かったお客さんとよくエギングに行く様になり、PEラインの使用頻度が上がったのだ。最初の内こそ「やっぱりラインシステムを組むのは面倒だなぁ。。」と、思っていたのだが、慣れてくるとシステムを組むのに3分もかからない。ラインが軽くて風に流されるのも、キャストで何とか調整できる。それに感度が段違いだ。軽くロッドを動かすだけでエギもよく動く。PEを使うことによって、縦の釣りがとてもし易いのだ。

しばらくエギングに行っていて、ある時ふと思いついた。
「渓流でも、使えるんと違うかな。。。」





物は試しである。早速、その時に使っていたステラにPEを巻いて、自作のバンブースピニングロッドで渓流に行ってみた。
使い始めて数投の間は、「やっぱり使いにくいかなぁ〜。。」と、思いながら投げていたのだが、、、
慣れてくるといいのである。

PEのデメリットをあまり感じないのだ。

投げる事に関しては、糸絡みが心配だったのだが、ガイドの種類とセッティング、それにキャストの仕方で何とかなる。風で糸が孕むのも、もともとライナーでキャストするので問題無い。ギリギリを狙いすぎて樹の枝に巻き付いても、強いPEとフロロの7lbの組み合わせは、ルアーをゆっくりと巻いてやれば、そのまま回収できる率がとても高い。(これはシングル、バーブレスを使用している効用でもあります。トリプル、バーブ付きではこの限りではありません)

ルアーの操作に関しても、今まで結構強めに動かさないといけなかったのが、本当に軽い力を入力するだけで、ルアーが機敏に動いてくれる。慣れれば、ルアーを手で動かしているような感覚になってくる。それに、ルアーが何に当たったのか手に取るように分かるのだ。(もちろん、竹竿のせいもあるのだが、、)何に当たっているかがよく解るので、根がかりしにくくなる。そうすると底ギリギリを引いてくることが出来るので、より底に定位している大物も狙える様になる。
アップクロスに投げて、ルアーとリーダー部分だけを沈めて、ポイントまで流し込んでいく。PEは全て水からでている状態なので、軽くトゥイッチを入れてやると、ルアーがその場でヒラを打つ。ヒラを打ちながらポイントまで流し込めるのだ。PEが弛んでいても、PEの先端部分が浮きの役目をはたして、当たりがはっきり解る。

魚がヒットして、掛ける時もほんの少し手首を返すだけで、しっかりフッキングできる。魚がどういう動きをしているのかも、手に取るように解るので、やり取りに余裕ができる。

難点としては、無理なやり取りをした時と、魚を取り込む時に糸と魚に角度がついた時にフックホール(魚に刺さっている針の穴の事)が広がって、バレやすくなってしまう事だろうか。ただ、これも無理なやり取りをせずに、取り込み時だけ注意する事で緩和する事ができる。
後は、横の釣りがしにくい事もあげられる。真っ直ぐ横に同じ層を引いてくる様な使い方は、どうしてもPEが浮いてしまう為、やりにくい。

こうやって、メリット、デメリットを上げていくと、圧倒的にメリットの方が多いのだ。
こうなってくると、使わない手は無い。
店に置いてあったPEラインを試しまくって、今も使用しているバリバスのラインに落ち着いた。(適度なコシがあって使いやすい)

おかげでここ何年かは、ほぼPEオンリーで釣りやテストをしている。
それぞれ、いろいろな考え方もあると思うし、どの考え方も間違っているとは思わないが、一度試してみる価値は充分にあると思う。

ぜひ、今シーズンの釣りで試してみてほしい。
目から鱗がおちるかどうかは、保証しませんが、、、(笑)

追記
ヘタしたら一シーズンもっちゃいそうなライン寿命も有り難いです。財布に優しい。。(笑)


2014年2月5日水曜日

Help (2)

"Help"の投稿で書いた様に、愛用のMacが調子が悪くなってしまい、動画の編集が行えなかったのですが、諦めてMacを新調したので、やっと動画の編集が行えました。

こちらです。


渓流好きの方なら、きっとニヤニヤ出来るはずです(笑)

上桂川漁協さん、頑張っておられます。
皆さん、一度は行ってみてはいかがですか?
いい思いが、できるかも。。。

2014年2月3日月曜日

Help

上桂川漁協の理事をしておられる”KINEYA Tackle Maker”の奥居さんの呼びかけに応じて、2月1日に上桂川漁協さんの放流活動のお手伝いに行ってきました。

去年の11月末に発眼卵を入れたカゴを上桂川の各支流に沈めておいた物を回収して、稚魚の育成状況を確認して放流するという作業内容です。

この日の朝、集まったのは、もちろんKINEYAの奥居さん、上桂川漁協の磯部さん、地元の釣り人の澤田さん、梶谷さん、Kyoto Flyの窪田さん、そして僕の6人でした。

集合場所の道の駅では、挨拶もそこそこに早速現場へ向かいます。
最初の谷は、結構石のゴロゴロした谷でした。落ち込み下に石を組んでその下にカゴをセットされていた物を、手分けして引き上げていきます。

最初の一個。
みんなドキドキしながらカゴを開けてみます。

「なんか、あんまりいませんね〜。。。あっ、違うわ下にいっぱいおるわ!!」

カゴの真ん中に黒い仕切りが付けてあったので見えなかっただけで、結構な数の稚魚が元気にピチピチしています。すぐに、水を張ったバケツに移して、しばし皆で観察していました。

「孵ってない卵の数もしれてるし、かなり孵化したんやなぁ〜。」
「元気に泳いでますわ〜。」

皆さん、とても良い笑顔です。
皆さんの笑顔を見れただけでも、来て良かったと思えました。

一つ目の谷に沈めたカゴの数が20個。
いろいろ苦労しながらも、ちゃんと20個回収することができました。


まずは沈めた所まで歩きます。


 皆で稚魚を観察中

奥居さん奮闘中

放流します

一つ目の谷のカゴの回収を終えたら、奥居さんの御厚意でお昼ごはんをごちそうになりました。(カレー、美味しかったです!!)
お腹も満腹になった所で次の谷に向かいます。

残念ながら梶谷さんはお仕事との事で、ここでお別れです。一つ目の谷の行き帰り、車でご一緒させて頂いたのですが、本当に好青年!!という感じの方でした。また、お会いする機会があれば宜しくお願い致します。

で、次の谷に到着。
この谷は、どちらかといえば砂地の谷です。

一つ目の沈めたカゴのある辺りに付いて探し始めたのですが、思っていた以上に砂を被っていてどこにあるのか全く検討がつきません。

「あらへんわ〜。。。結構、水押しも強いし流されたんやろか〜。。。」
「かもしれんな〜。。。」

しばらく、探してみましたが見つからないため次のポイントに向かいます。
次のポイントでも同様に砂を被っていて、なかなか見つかりません。。。
それでも、諦めずに砂をほっていた所。。。

「ありましたわ〜!!」
Kyoto Flyの窪田さんが、結構な深さからカゴを見つけられました!!

「いや〜。天魚の声が聞こえたんですわ〜(笑)」
神がかってますよ。。窪田さん。。

ただ、これでかなり深い所にある事が解ったので、埋めたであろう箇所を皆で一生懸命、掘り起こします。
しばらくすると、ポツポツ見つかり始めました。

「あった〜。」
「こっちも、あったで〜。」

砂地の底に埋まっていた為に稚魚が逃げる事ができなかったせいで、かごの中にはものすごい数の稚魚が泳ぎまわっていました。

そうこうしていると京都から杉江さんが駆けつけて下さって、また、6人でカゴを探索です。
結局、最初のポイントも探しなおして見つける事ができ、回収できなかったカゴは1個だけでした。(かなり探したのですが、流されてしまった様です。。)

2万粒の発眼卵を放流されて、孵化していなかった卵の数はせいぜい50個程度。
すごい孵化率に、皆さんとても喜んでおられました。
「今年が初の試みなので勉強することもたくさんあった。」と、仰っていましたが、結果的には大成功なのではないかと思います。

 すごい数の稚魚!!



 うっすらとパーマークが見えます。

大きくなれよ〜(^^)

放流し終えた後で、皆でまたKINEYAさんに集まり、とても美味しいケーキセットを頂きながら(ぜひ、皆さん食べに行ってみて下さい!!美味しいですよ〜!!)しばらく釣りの話やリールの話等で盛り上がってから、この日は解散となりました。

僕は初参加でしたが、奥居さんはじめ、磯部さん、澤田さん、梶谷さん、杉江さん、窪田さん、皆さんとても親切にして頂きました。
奥居さんの人柄もあってか、皆さんとても仲がよく、見ていてこちらまで嬉しくなってしまいました。

久しぶりに楽しい時間を過ごさせて頂き、本当に有難うございました。
次回も是非参加させて頂きます!!

追記
家に帰ってから撮ってきた動画を編集してYoutubeにアップロードするつもりだったのですが、新調したカメラの画素数が大きすぎて、今、使っているMacでは編集ができませんでした。。。もともと、調子が悪くなってきてはいたのですが、クラッシュ寸前です。。買い替えかなぁ。。。(T T)