2014年1月29日水曜日

"Straightening the Bamboo Sprits"

曲げ取り

竹竿作りの中で、最も難しく嫌な作業。
何が嫌かって、熱いし痛い。

竹というのは「竹の様に真っ直ぐに」と、言われている様な代物じゃ無い。
曲がって、反ってぐにゃぐにゃだ。
特に節の前後は最悪。

それをヒートガン(ドライヤーの親分の様な物)で、熱を入れて曲がりを取る。(竹は熱を入れると、面白いぐらいグニャグニャに曲がります)
最初は手袋を付けるやり方も試していたが、それでは細かい凸凹が分かりづらくて、今は素手でやっている。(道具は使うけどね)

熱を入れた部分をすぐに触ったりするから、熱い。
熱いけど、真っ直ぐにしたいから多少熱くても我慢する。
素手で竹を曲げながら熱を入れるから、痛い。
痛いけど、やっぱり真っ直ぐにしたいから多少痛くても、やっぱり我慢する。

海外のビルダーさんの様に、曲がったまま機械でカットして貼り合わせる製法もあるが、途中で竹の繊維が切れてしまう為、やりたくない。
繊維が切れていても、ちゃんと竿にはなるのだ。フライロッドで名竿と言われている竿のほとんどが、マシンカットなのだから。

でも、拘りたい。
ほんのちょっとかもしれないが、竿の寿命や感度が変わるのだから。
拘りたいから、この熱さや痛みは我慢する。
それにもう何年もやってきたから大分慣れたし、手の皮も厚くなった様で、それ程痛くなくなってきた。

一本の竿を仕上げるのに使う竹の棒は2ピースなら12本。(6本を貼りあわせてブランクスを作っている為)12本を1本ずつ丁寧に曲がりを取っていく。
僕の作業時間は他のビルダーさんに比べて遅いと思う。
熱を最小限しか入れたくないから、ヒートガンの温度をギリギリまで下げてあるからだ。
竹は熱を入れ過ぎると固くなるし、脆くなる。
だから、ゆっくり少しずつ熱を入れる事によって、熱を入れていない箇所との差を少しでも少なくしたいのだ。ただし、最小限しか熱を入れないという事は、竹は曲がりにくくなるので作業途中でちょっとでも力を入れすぎると折れる。
だから、曲げ取りの最中はかなり神経を使う。長時間やると頭が痛くなるぐらいだ。

ここで真っ直ぐにしておかないと、後々まで作業に影響する。
だから嫌だけど、集中して作業する。

唯一の救いはいい香りがする事。(真竹に熱を入れると、とても甘い匂いがします)
明日もいい香りを嗅ぎながら我慢して曲げ取りしようかな。。。。

熱いし痛いし嫌だけど、終わった時の達成感が一番強いのもこの作業なんだよなぁ。。。


右が曲げ取り前。左が曲げ取り後。

追記
僕の友人のデザイナーの方が、ご自分のブログでこのブログとHPの事を紹介する記事をアップしてくれました。この場を借りてお礼申し上げます。
このデザイナーの方、とてもファンキーな方でブログもとっても面白いです。ブログページのリンクに張っておきましたので、ぜひ、読んでみて下さい。
ブログの名前は ”サムルアーズが好き” by ゴッキー
京都のサムルアーズというルアーメーカーと可愛い奥さんを、こよなく愛するゴッキーさんのブログです。